私は次のような質問をした。
「長嶋さんはよくマスコミの紙面でも'感ピューター'とか'動物的感'等と書かれていましたよね。」
と。
ご本人もその点は特に意識していらっしゃったらしく,
それまで物静かに対応していた長嶋さんがせきを切ったように話しを始めた。
「ピッチャーの手からボールが離れてキャッチャーのミットに届くまでゼロコンマ何秒です。
一流のバッターにとって,そのボールを打つか見送るか,これはまさに感性の世界です。
上達の秘訣は感性を磨くことが大切です。
その為に私は監督になった今でも現役の時と同じように毎日一回
ささやかな『行(ぎょう)』をしています」
現役時代,チャンスの時には必ずといっていい程ヒットを打っていた長嶋さんは
生来の天才だと思っていたが,実は努力の人であったと初めてわかった瞬間であった。
経営者の世界も同じである。
時代の変化に速やかに対応してゆくには自分自身を常に進化させてゆかねばならない。
その為には『行(ぎょう)』をして己を磨いてゆくことである。
一日一回同じ事をできれば同じ時間に繰返して実践する。
事の大小にとらわれず一日一回,建設的なことなら何でもよい。
ただひたすら継続することである。
継続企業(ゴーイングコンサーン)がアメリカでは真に尊敬される言葉であることは
改めてここに記すまでもない。 |