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「・・・がよい」

(一社)倫理研究所(文部科学省所管)の指導員をさせて頂いていた時のことである。
福島さん(仮名)という50代半ばの小柄な女性が指導を受けにいらっしゃった。
彼女は4才の時、事故で股関節脱臼し、それ以来、車椅子の生活とのこと。


26才の時に虎ノ門病院で手術を受け、リハビリ後、やっと歩けるようになったが、その時すでに右足と左足の長さが10センチ程違っていた。
「最近、28年前に手術した箇所がとても痛むんです。再手術も難しくつらい日々です。どんな心で過ごしたらいいのでしょうか?」
私が、「福島さんのご両親はどうなさっていますか?」と尋ねると、「ハイ、父は86才で、母は85才で、両親とも病床で息を引きとるまで私のことを案じながら亡くなってゆきました。」
そこで私は、彼女に、「福島さん『苦に親しむ』という言葉があります。
人間は本当に苦しい時や痛い時、その苦しさから何とか逃げようとする。
しかし、逃れようとすればするだけ、ますます苦しく痛く感じるものです。
そうではなく、よし!この苦しさ、この痛さと仲よくしよう、
痛い時はこの痛さをじっくり味わってみようと思うことです。
『この痛さ・・・がよい』と心を切り替えると人間の持つ自然治癒力も増すものです。」と。
その数日後、あの福島さんが、今度は元気に訪問して下さった。
聞くところによると、墓参をし、手を合わせて、生前両親が自分に与えてくれた数々の愛情を思い出していたら、止めどなく涙が流れたそうだ。
そうだ、この関節の痛さがいいんだ。
この痛みがあるからこそ両親のことを忘れないでいられる。
不思議なことに痛さを心から受け入れた時、痛みが薄れていったという。
そして彼女は私にこう云った。
「歩けるってすばらしいことですね。私が働いて頂ける賃金は健常者の6~7割ですが、自分の力で生活してゆくことができます。とてもとても幸せです!!」と。
私は五体満足にもかかわらず、今まで力を出しおしみしていた自分を心から恥じた。
所長
河村 貴雄